WEBVTT Kind: captions Language: ja 00:00:04.125 --> 00:00:08.725 仕掛けの術のことで、よく帰終と言い争ったものだった 00:00:09.050 --> 00:00:12.550 互いの言い分をどちらも譲らなかった 00:00:13.700 --> 00:00:17.675 妾はかつて二種のからくりを批評してもらうため 00:00:17.725 --> 00:00:21.325 最も公正なる岩王帝君を宴に招いた… 00:00:21.600 --> 00:00:27.950 なんと帝君は、帰終の「翳狐からくり」のほうがやや秀でると仰った。ふん… 00:00:28.825 --> 00:00:33.375 口にしたくはないが、妾は分かっておるのだ 00:00:33.600 --> 00:00:39.000 仕掛けの術において、帰終は確かに妾より一枚上手だった… 00:00:39.475 --> 00:00:45.125 帰終と歌塵の物語については、ある鈴のことから話さねばならぬ 00:00:45.775 --> 00:00:49.850 仕掛けの術が作曲家にとって代わることはなくとも 00:00:49.875 --> 00:00:54.975 その質はそこらの作品と変わらぬと帰終は考えていた 00:00:55.700 --> 00:01:01.975 対して歌塵は、音楽は魂の発する感情ありきの声だと言い… 00:01:01.975 --> 00:01:05.925 からくりが自発的に作りはしないと考えた 00:01:06.875 --> 00:01:11.075 二人があまりに争うから、帝君を呼ぶしかなかった 00:01:11.575 --> 00:01:16.200 やがて帝君は鈴を持っていき、様々な儀式に使った 00:01:16.850 --> 00:01:20.175 それから、あやつらはよく山に集い 00:01:20.250 --> 00:01:26.475 音楽や仕掛けの術、そして人間社会のあれこれを議論するようになった 00:01:30.025 --> 00:01:33.600 だがそんな光景も長くは続かなかった 00:01:33.900 --> 00:01:38.475 魔神戦争が起こり、帰離原も戦火に巻き込まれたのだ 00:01:38.975 --> 00:01:42.725 やがて帰終は敵に敗れ、戦場で散った 00:01:43.600 --> 00:01:51.301 妾や歌塵がついた時、廃墟に残されていたのは…旧友の神骸のみだった 00:01:51.850 --> 00:01:54.725 その後、歌塵の要望のもと 00:01:55.075 --> 00:01:58.725 岩王帝君は洗塵の鈴を彼女に持たせた 00:02:00.575 --> 00:02:08.575 妾も旧友の考えを継いで「帰終機」を少々改造し、思いを託したのだ… 00:02:10.225 --> 00:02:15.675 霄灯は飛んでは落ち…人もまた集まっては散りゆく 00:02:18.425 --> 00:02:22.150 何を見ている?帰離原か? 00:02:23.675 --> 00:02:25.825 この山水を見ている 00:02:33.125 --> 00:02:38.650 人が死ぬは灯が消えると同じ…仙人もまた然り 00:02:39.500 --> 00:02:44.750 いつの日か、我らもみな塵になって土に還り 00:02:45.625 --> 00:02:48.650 この世に還るのやもしれぬ