WEBVTT Kind: captions Language: ja 00:00:06.994 --> 00:00:08.721 千里の情景 00:00:09.638 --> 00:00:11.603 壮麗な山河が 00:00:12.682 --> 00:00:14.809 この僅かな領域に再現される 00:00:16.743 --> 00:00:18.312 匠の業は 00:00:18.774 --> 00:00:20.406 世の人々の注目を集めています 00:00:21.115 --> 00:00:23.073 流光拾遺の旅 00:00:23.073 --> 00:00:24.900 仙聞編・内画 00:00:26.854 --> 00:00:29.823 「内画」とは特製の筆を使い 00:00:29.823 --> 00:00:33.403 透明または半透明の容器の内側に絵を描くことです 00:00:33.883 --> 00:00:37.041 これは乾隆の後期から嘉慶の間に生まれた技法で 00:00:37.041 --> 00:00:39.143 鼻煙壷に由来します 00:00:39.544 --> 00:00:44.412 16世紀——利瑪竇(マテオ・リッチ)が鼻煙を中国に献上し 00:00:45.150 --> 00:00:49.383 中国人がそれを伝統的な美しさを持つ瓶に入れたことで 00:00:49.697 --> 00:00:52.413 鼻煙壷は誕生しました 00:00:52.709 --> 00:00:54.097 衡水市 00:00:54.097 --> 00:00:55.546 河北省 00:00:55.649 --> 00:00:59.738 伝統ある雅士が様々な材料や技法を用いて 00:00:59.738 --> 00:01:02.912 匠の業である「内画」技法を確立させたのです 00:01:03.329 --> 00:01:06.012 それが中国特有の芸術形式として 00:01:06.169 --> 00:01:07.722 世界中に知られるようになりました 00:01:08.484 --> 00:01:11.213 現在 明確に記録されているのは 00:01:11.309 --> 00:01:12.793 1816年に 00:01:12.793 --> 00:01:15.803 甘烜文(Gan Xuanwen)という芸術家が 00:01:16.558 --> 00:01:19.309 伝統的な「山水」を題材に描いた作品となります 00:01:19.561 --> 00:01:23.499 当時は昔ながらの旧式鼻煙壷に描いており 00:01:23.499 --> 00:01:26.543 竹製の筆に塗料を少しずつ付けながら描いていました 00:01:26.760 --> 00:01:29.588 最初期の頃は 道具の影響で題材が制限されており 00:01:29.588 --> 00:01:33.309 山水の絵や書道にまつわるものが多くなっています 00:01:34.487 --> 00:01:37.193 「内画」は中国画の作画原理と共通しており 00:01:37.591 --> 00:01:39.329 中国画の 00:01:39.329 --> 00:01:40.808 勾 00:01:40.808 --> 00:01:42.256 皴 00:01:42.256 --> 00:01:43.696 擦 00:01:43.696 --> 00:01:45.197 染 00:01:45.197 --> 00:01:46.965 点 00:01:46.965 --> 00:01:48.668 撕 00:01:48.996 --> 00:01:51.984 これら技法を用いますが 順序は中国画と逆です 00:01:52.268 --> 00:01:55.896 例えば 同じく山と木を描く場合 00:01:56.015 --> 00:01:59.393 中国画ではまず山を描いてから木々を描くのに対して 00:01:59.506 --> 00:02:02.441 「内画」は木々を描いてから 00:02:02.441 --> 00:02:04.454 山に色を付けます 00:02:04.454 --> 00:02:07.465 そうしなければ木々が山に遮られてしまい 00:02:07.465 --> 00:02:08.802 外側から見えなくなってしまうのです 00:02:10.166 --> 00:02:12.946 今回 私が描くのは原神の世界で 00:02:12.946 --> 00:02:16.524 璃月と呼ばれる地域にある3つの景色—— 00:02:16.524 --> 00:02:21.100 「絶雲の間」 「琥牢山」 そして「奥蔵山」となります 00:02:22.339 --> 00:02:24.696 原神のこれら3つの風景画を 00:02:24.939 --> 00:02:28.850 中国画と油彩画の技法を組み合わせて描きました 00:02:28.850 --> 00:02:31.950 これにより景色に雄大さと迫力が増して 00:02:32.093 --> 00:02:35.155 色に厚みが現れ 層がはっきりとします 00:02:35.973 --> 00:02:40.300 「絶雲の間」 「琥牢山」 「奥蔵山」を描く上で 00:02:40.300 --> 00:02:42.732 その難点は色の再現にありました 00:02:42.732 --> 00:02:44.988 元の色が全体的に灰色調にやや片寄っており 00:02:44.988 --> 00:02:49.796 中国画と油彩画の塗料を混ぜて 微調整していく必要があったのです 00:02:50.071 --> 00:02:53.693 その色が適切かどうかは 経験で判断するしかありません 00:02:54.155 --> 00:02:58.862 山には青色や紫色 白色を使って 00:02:59.118 --> 00:03:01.305 濃淡の変化で 00:03:01.305 --> 00:03:04.576 山の明暗を表現し 00:03:04.576 --> 00:03:07.003 立体感を演出しました 00:03:07.858 --> 00:03:11.506 しかし この山は伝統的な中国画の山とは異なります 00:03:11.769 --> 00:03:14.272 「皴染」という技法も用いましたが 00:03:14.272 --> 00:03:18.402 主に油彩画のカラーブロックを利用して描きました 00:03:18.654 --> 00:03:20.230 波にきらめく湖は 00:03:20.230 --> 00:03:23.537 「皴染」と「釉薬」の色によって再現をし 00:03:24.260 --> 00:03:27.526 明度の高いところにはアクリル絵具を使用して 00:03:27.526 --> 00:03:29.503 透き通った明るさを表現しています 00:03:30.841 --> 00:03:32.219 一筆一筆を丁寧に描き 00:03:32.219 --> 00:03:34.553 原神が有する「千里の絶景」を 00:03:34.722 --> 00:03:37.303 この僅かな領域に収めました 00:03:40.674 --> 00:03:43.521 「内画」の技法の多くは 中国画の技法を踏襲しているため 00:03:43.974 --> 00:03:49.077 中国の「山水」からイメージを得た 原神の情景を「内画」と融合させ 00:03:49.077 --> 00:03:50.700 相乗効果を生み出しています 00:03:51.018 --> 00:03:53.748 私は父の元で「内画」の知識を学び 00:03:53.748 --> 00:03:57.403 13歳からそれに触れ始めました 00:03:57.859 --> 00:04:00.915 記憶にある父の指導は私たちにとても厳しく 00:04:00.915 --> 00:04:04.457 極限まで腕を磨いた上で 00:04:04.457 --> 00:04:08.035 推敲を重ねて 鑑賞に値したものこそが 00:04:08.035 --> 00:04:11.180 芸術作品と呼べるのだと言っていました 00:04:11.180 --> 00:04:14.050 私は生涯 その言葉を心に刻み 00:04:15.593 --> 00:04:17.157 自分の弟子にも 00:04:17.157 --> 00:04:19.452 描くことに真剣に向き合い 00:04:19.510 --> 00:04:23.600 可能な限り最善を尽くしなさいと指導しています 00:04:25.827 --> 00:04:26.991 伝統的な壺 00:04:26.991 --> 00:04:29.001 その口の直径は約1センチ 00:04:29.001 --> 00:04:30.437 このような狭い口から 00:04:31.696 --> 00:04:34.485 「内画」を綺麗に描くには 筆が重要です 00:04:35.296 --> 00:04:37.394 「内画」の職人たちの筆は 00:04:37.394 --> 00:04:39.569 すべて自分の手作りで 00:04:39.909 --> 00:04:43.232 筆軸と筆の先はT字になっており 00:04:43.232 --> 00:04:45.000 そのサイズは2ミリしかありません 00:04:46.315 --> 00:04:49.630 小さな特製の筆を壺の中に入れて 00:04:49.630 --> 00:04:53.406 僅かな領域に逆方向から絵や字を描きます 00:04:54.458 --> 00:04:56.288 後に父は針金から着想を得て 00:04:56.288 --> 00:04:58.412 金属を軸とした筆を作りました 00:04:58.412 --> 00:04:59.866 金属の軸は折り曲げて描くことが可能で 00:04:59.866 --> 00:05:01.750 描き終えた後は元に戻すことができ 00:05:02.049 --> 00:05:03.399 自由自在に変えられます 00:05:03.741 --> 00:05:07.594 これは「内画」界隈において 特別で大きな貢献だったでしょう 00:05:09.186 --> 00:05:11.715 線は「内画」の真髄であり 00:05:11.880 --> 00:05:16.571 その太さや両端の形 曲線の変化は正確な必要があります 00:05:16.882 --> 00:05:20.944 この2つの絵は原神の仙人—— 00:05:20.944 --> 00:05:23.216 「削月築陽真君」と 00:05:23.216 --> 00:05:28.009 「理水畳山真君」 そして「留雲借風真君」を描いたものです 00:05:28.329 --> 00:05:32.130 左が「実」で右が「虚」であり それが互いに融合して 00:05:32.513 --> 00:05:35.037 立体感を演出しています 00:05:35.335 --> 00:05:38.059 線を引く時は柔らかく滑らかに 00:05:38.059 --> 00:05:39.816 それから 密度のバランスを取ることで 00:05:39.816 --> 00:05:42.682 描いたものをよりリアルにさせています 00:05:43.257 --> 00:05:47.513 原神の仙人は 中国の神話が有する趣を持っています 00:05:47.513 --> 00:05:51.468 私たちも神話を題材に「内画」を創作することがあり 00:05:51.676 --> 00:05:54.396 たとえば「嫦娥」や「玉兔」がそうです 00:05:56.000 --> 00:06:00.565 「内画」の職人は伝統文化にまつわる題材で創作するのが好きで 00:06:00.605 --> 00:06:05.593 「五牛図」や「龍鳳図」 「前程似錦図」などが含まれます 00:06:05.796 --> 00:06:09.303 中国の伝統文化では 物の中に縁起を担ぐこだわりがあり 00:06:09.303 --> 00:06:11.471 実際の鼻煙壷にも 00:06:11.471 --> 00:06:14.157 このような縁起を担ぐための図形が多数あります 00:06:14.157 --> 00:06:15.710 福禄寿喜—— 00:06:15.710 --> 00:06:16.899 特に「福」は 00:06:16.899 --> 00:06:19.270 素晴らしい祝福を人々に贈るものです 00:06:20.285 --> 00:06:24.218 絵には物語があり 心には期待が込められています 00:06:24.869 --> 00:06:29.268 原神という題材——その物語はとても魅力的です 00:06:29.268 --> 00:06:31.561 無形文化遺産の形で創作することで 00:06:31.561 --> 00:06:35.521 私たちの題材の選択肢を広げてくれたと言えるでしょう 00:06:35.611 --> 00:06:37.619 これは同時に我々の試みでもあります 00:06:38.619 --> 00:06:41.249 代々の伝承と保持により 00:06:42.100 --> 00:06:44.304 「内画」は既に人々の生活にまで広がっています 00:06:44.357 --> 00:06:45.649 博物館から 00:06:45.649 --> 00:06:47.171 お店まで 00:06:47.171 --> 00:06:48.656 どこでも見られます 00:06:49.304 --> 00:06:54.194 伝統的な「内画」は 今や中国の伝統ある生活美学の一部となり 00:06:54.194 --> 00:06:57.409 一般人の暮らしに溶け込んでいるのです 00:06:58.481 --> 00:07:00.182 僅かな領域に 00:07:00.182 --> 00:07:01.909 万象を記録し 00:07:02.365 --> 00:07:04.047 自身の責任を胸に 00:07:04.956 --> 00:07:07.165 無形文化遺産を守っていく